デリバティブ価格理論入門―金融工学への確率解析
2009年6月11日 日常今日は本の感想です。
といっても、所謂読み物ではなく数理ファイナンスの専門書。
「デリバティブ価格理論入門―金融工学への確率解析」(訳)藤田 岳彦、塩谷 匡介、高岡 浩一郎です。
これは訳本で、原書は、「Financial Calculus: An Introduction to Derivative Pricing」(著)Martin Baxter,Andrew Rennieです。
デリバティブ(派生証券)の価格決定理論についての本ですが、近年多く見られる、
”文系でもわかる金融工学”
”数式無しでわかる~”
”世界一わかりやすい~”
といった類の本ではなく、ガッツリ数学が盛り込まれています。
ただ、この本は確率論を学ぶ上で避けては通れない(と思う)抽象的な測度論をうまく回避した説明で書かれてあるので、文系の方でも読めないことは無いと思います。
むしろ、市場の仕組みや金融商品の種類と定義といった知識が前提として必要なので、文系(経済など)の方のほうが読めるのではないでしょうか。
きついでしょうがw
ちなみに私は、数学から生まれた学問を数式無しで理解しようなど言語道断だと思っているので(概観はつかめるでしょうが真の理解は得られない)「数式無しで~~」とタイトルにある本は嫌いですw
さて、内容ですが、複製戦略から金融商品の理論価格を求める。
これだけです。
しかし非常に奥が深く、最も初歩的なブラック・ショールズモデルから、CMG定理やマルチンゲール表現定理を用いてオプションの理論価格を求めることから始まり、その応用として対象を変え、モデルを拡張していきます。
この本の特徴としては、直感的な説明がなされていて、数学の定理の証明や数式変形は省略されていることが挙げられます。
個人的には、リスク中立確率の下での期待値と大数の法則をきかせた通常の期待値との違いや伊藤の公式、Radon-Nikodym微分による測度変換の説明が非常にわかりやすかったです。
特に、伊藤の補題やマルチンゲールに関してはこの本のおかげで理解が深まったと思っています。
マルチンゲールの定義を見て「公平性を表現している(キリッ」なんていわれても普通わからんでしょw
全ては裁定性につながります。
しかし残念なことに問題点が2点ありますのであげておきます。
1つは、これを独学で読もうとすると厳しいということ。
一応練習問題があるのでわずかながらアウトプットできるのですが、正直理解には全く足りませんね。
私は図書館で借りたので2週間の期限付きで読んだのですが、後半は理解が追いつきませんでしたw
セミナーや複数人での輪読などで時間をかけて行間を埋めながら読み込むのをおすすめします。
その際は訳本ではなく、是非原書を。
理由は後述。
問題点のもう一つは、訳が非常に稚拙であるということ。
英語が苦手な(院生なのに英検2級レベルw)私ですら稚拙だと思います。
なんというか、全て原文を(exciteにでもぶち込んで)直訳したのでは?と思うほど酷いw
原書は非常にいい内容(だと思う)なのにもったいない・・・
※ここまで書いた後で気付きましたが、「文系の方」という言い方は若干差別的でしたね。
「数式が苦手な方、嫌いな方」と読み替えてください。
といっても、所謂読み物ではなく数理ファイナンスの専門書。
「デリバティブ価格理論入門―金融工学への確率解析」(訳)藤田 岳彦、塩谷 匡介、高岡 浩一郎です。
これは訳本で、原書は、「Financial Calculus: An Introduction to Derivative Pricing」(著)Martin Baxter,Andrew Rennieです。
デリバティブ(派生証券)の価格決定理論についての本ですが、近年多く見られる、
”文系でもわかる金融工学”
”数式無しでわかる~”
”世界一わかりやすい~”
といった類の本ではなく、ガッツリ数学が盛り込まれています。
ただ、この本は確率論を学ぶ上で避けては通れない(と思う)抽象的な測度論をうまく回避した説明で書かれてあるので、文系の方でも読めないことは無いと思います。
むしろ、市場の仕組みや金融商品の種類と定義といった知識が前提として必要なので、文系(経済など)の方のほうが読めるのではないでしょうか。
きついでしょうがw
ちなみに私は、数学から生まれた学問を数式無しで理解しようなど言語道断だと思っているので(概観はつかめるでしょうが真の理解は得られない)「数式無しで~~」とタイトルにある本は嫌いですw
さて、内容ですが、複製戦略から金融商品の理論価格を求める。
これだけです。
しかし非常に奥が深く、最も初歩的なブラック・ショールズモデルから、CMG定理やマルチンゲール表現定理を用いてオプションの理論価格を求めることから始まり、その応用として対象を変え、モデルを拡張していきます。
この本の特徴としては、直感的な説明がなされていて、数学の定理の証明や数式変形は省略されていることが挙げられます。
個人的には、リスク中立確率の下での期待値と大数の法則をきかせた通常の期待値との違いや伊藤の公式、Radon-Nikodym微分による測度変換の説明が非常にわかりやすかったです。
特に、伊藤の補題やマルチンゲールに関してはこの本のおかげで理解が深まったと思っています。
マルチンゲールの定義を見て「公平性を表現している(キリッ」なんていわれても普通わからんでしょw
全ては裁定性につながります。
しかし残念なことに問題点が2点ありますのであげておきます。
1つは、これを独学で読もうとすると厳しいということ。
一応練習問題があるのでわずかながらアウトプットできるのですが、正直理解には全く足りませんね。
私は図書館で借りたので2週間の期限付きで読んだのですが、後半は理解が追いつきませんでしたw
セミナーや複数人での輪読などで時間をかけて行間を埋めながら読み込むのをおすすめします。
その際は訳本ではなく、是非原書を。
理由は後述。
問題点のもう一つは、訳が非常に稚拙であるということ。
英語が苦手な(院生なのに英検2級レベルw)私ですら稚拙だと思います。
なんというか、全て原文を(exciteにでもぶち込んで)直訳したのでは?と思うほど酷いw
原書は非常にいい内容(だと思う)なのにもったいない・・・
※ここまで書いた後で気付きましたが、「文系の方」という言い方は若干差別的でしたね。
「数式が苦手な方、嫌いな方」と読み替えてください。
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